『オテル・ド・摩耶』内のイタリアン『リストランテ・エルベッタ』へ
イタリアンの『リストランテ・エルベッタ』は、神戸市の摩耶山の標高約700mに立つ『オテル・ド・摩耶』内にあります。こちらは神戸市が経営母体となっている国民宿舎。国民宿舎といっても、建物全体はちゃんと整備され、夜景を見ながら入れるジャグジーなども備えた、南欧風のオーベルジュ風になっています。今回は宿泊を含めて、2名で訪問、ディナーとランチをいただきました。
■ディナー
ディナーは4,389円~9.009円までの3コース。今回は真ん中のBコース(6,699円)を選びました。このコースは前菜2品+パスタ+メイン+デザートという構成で、デザート以外はすべてアラカルトから選べますので、このコースがおすすめです。
まず前菜1は、前菜の盛り合わせ。僕のものは鯛とサーモンのカルパッチョ、白金豚のパテ、テリーヌと、かぼちゃのスープの5種盛り。同行者はカンパチのカルパッチョ、ホタテのスモーク、カプレーゼ(モッツァレラとトマトのサラダ)、ガランティーヌ(鶏肉で野菜等を巻いたもの)と、セロリのスープでした。スープまで、まったく内容がかぶらないようにされていてびっくり。盛り付けも美しく、たくさんの色が鮮やかに映えるお皿です。ただ、このときどちらに何を置くか、サービスマンが迷っていたので、ちょっと不安に...。そして不安は的中します。
まず、僕が少し先に食べ終わってしまった(これも良くないのですが)途端、すぐに前菜1のお皿を下げたこと。まだ相手が食べているにも関わらずです。これをやられると、ますます先に食べ終わってしまった感を相手に与え、バツが悪くなります。
さらに、僕の前菜二つ目は白金豚のパテ。前菜1と重なってしまいました。前菜1を置き間違えたと考えられます。また、同席者の方はリードヴォー(子牛の胸腺)のムニエル 焦がしバターソースだったのですが、こちらはまだ前菜1を食べている間に運ばれてきました。テーブルの上には僕の前菜2と、相手の前菜1、前菜2が乗っている状態に。テーブルには所狭しと皿が並ぶという、街のパスタチェーン屋状態です。これは上の皿下げと合わせて、さすがに不快。
しかし、味の方はそれを補って余りある素晴らしさ。パテはしっかりとした質感で、固めに仕上げてあります。食感的には、脂が主役というより、赤身メインといった仕上がり。ここに白金豚特有の脂の甘味をアクセントとして加えることで、全体にうまみを加えています。
次にパスタです。僕は茨城産オーソブッコのラグー 和えたパッケリを、同行者はトマトソースとマスカルポーネのスパゲッティーニをオーダー。このときには何も言わなくても取り皿を持ってきてくれました。この辺はサービスもちゃんとしています。サービス、ちょっと名誉挽回。
パスタの味はどちらも最高。ラグーのパスタに使われるオーソブッコとは、仔牛のすね肉。骨の周りの肉なので、ゼラチン質がうまみになって濃厚な味。さらに、塩加減も完璧で、塩味をうまみに100%転化した丁寧な味つけ。もうひとつのトマトソースも絶品でした。まず、まん丸なチーズが乗った見た目の面白さがいい。トマトソースはややすっきりめの味にしてあり、ここにマスカルポーネがコクを添えます。普通ならモッツァレラチーズで来るところを、あえてマスカルポーネにしたのが面白い。ちょっとした創作性が、この店の料理をトラットリア(カジュアル店)ではなく、リストランテ(高級店)たらしめています。
そしてメインには、同行者がスペイン産イベリコ豚のロースト サラダ仕立て ローズマリー風味を。もうおなかいっぱいだというので半分くらい渡されましたが、素晴らしい味。これは塩も火入れも最低限。中心部分は真っ赤です。イベリコ豚の特徴といえば、脂の芳醇さと、赤身の濃厚さですが、両方をそのまま味わえる火入れ。サラダ仕立てにしてしまうのも、贅沢な使い方ですね。
そして、僕のメインは「本日の燻製」として、仔牛の燻製。これはここのスペシャリテではないでしょうか。このレストランが入っている「オテル・ド・摩耶」には、何と燻製小屋があるのです。大自然の中なので、燻製で煙もくもくさせても近所から苦情が来ない、思いっきり燻製できるんですね。街中のレストランではこうはいきません。もちろん、その燻製度合いも最高でした。薄く表面を固めるような感じですが、肉全体にしっかりとスモーク香が行き渡り、身を引き締めています。ナイフを入れると、弾力があるのにすっと入って切れる絶妙な固さ。肉の味をダイレクトに味わったあとは、スモークフレーバーが鼻を抜け、満足。量もしっかりあるし、先ほどの豚を半分食べたせいもあって、おなかいっぱいに...。ちょっと中座してお手洗いへ行くほどでした。でも、そうして食べ尽くしたいほど、素晴らしいメイン料理だったのです。
少し小休止したところで、最後のデザート。説明は「ティラミス、パンナコッタ、クリームブリュレ、かぼちゃのチーズケーキ、ガトーショコラ、フルーツから好きなだけ盛り合わせできます。全部でもOKですよ」とのこと。もちろん「全部で」と答えました(笑) 味的には、ガトーショコラが少し固めだった以外は、全て標準以上のものを取り揃えています。特にお気に入りはパンナコッタ。先ほどのトマトソースに乗っていたマスカルポーネのような丸い形を見れば、少し固めに仕上げてあるのがわかります。濃厚な味で舌触りも滑らか、純白の美しい玉は、シンプルながらも面白い味わいです。全部おいしかったので、おなかいっぱいだったのに余裕で食べきってしまいました。
さて、こちらは国民宿舎ですので、とうぜん宿泊施設もあります。こうしておなかいっぱいになって苦しくなっても宿泊してしまえるのが特徴。後先考えずに食べたり飲んだりできるのが魅力ですね。ぜひ宿泊とセットで楽しむのがお得です。なぜなら、こちらの部屋からは、素晴らしい夜景が望めるから。僕が訪れた日はあいにくの雨でしたが、それでも六甲アイランド~大阪のUSJまで見渡せる夜景。もっと見たければ、徒歩10分くらいのところに掬星台(きくせいだい)という展望台もあり、日本三大夜景のひとつ、神戸の夜景を堪能できます。
■ランチ
前日のディナーから一夜明け、朝はゆっくり寝て宿泊とセットになっているモーニングをランチに変更。300円ほどの追加料金で朝食がランチAになるのです。ランチAの内容は、前菜盛り合わせ+パスタ+デザートと飲み物。前日のディナーでサービスについてはもう諦めてたので、今回は料理のみを楽しむ気持ちで行きました。
まず前菜は盛り合わせです。内容はスープ(何だったか忘れました)、ミートパイ、鯛のカルパッチョ、鯛のあぶり、海老のマリネ。どれもおいしいし、盛り合わせが美しいのも嬉しいです。鯛を二つの調理法で出すあたり、ちょっと面白いなーと思いました。
パスタはツナとキノコのトマトソース スパゲッティーニ。前日のディナーのパスタも絶品でしたが、このパスタも素晴らしい。ツナをあまり好まない僕でもおいしく食べられ、ゆで加減も完璧。塩加減も、とげとげしい辛さは一切なく、うまみになっています。
デザートは2種。パンナコッタと青りんごのソルベ。前日のディナーでお気に入りだったパンナコッタが再登場。やはり自信作なのでしょうか? ソルベも絶品。りんごのフレッシュな香りが立ち登り、気分までさっぱり。きめ細かさも素晴らしかった。
また、部屋にハーブティーのティーバッグがあったので、食後の飲み物に「ハーブティーはありませんか?」と聞いたところ、快く持ってきていただけました(っていうか、売店で売ってるんだから初めから選択肢にあってもいいと思うのですが)。
この庭を眺めながらのランチは優雅な気分になれます。この日は曇りでしたが、晴れていたらもっと優雅だったでしょう。どうせなら庭にハーブ植えたらいいのに...とか、いろんなことを考えてしまいましたが、料理は関西でもトップレベルのイタリアンだと思います。ランチは他にも2888円、4043円のコースがあります。お昼なら車で行って帰ってができますので、こちらもなかなかいいでしょう。
全体に、料理は本当に最高レベルです。フレンチにも負けない美しさもあるし、イタリアンらしく素材を大切にした、これぞリストランテ、というもの。今まで食べた中でもトップクラスのイタリアンです。それだけに、サービスは残念。施設自体が小さく、天井が低かったりするのは諦めるとしても、
・宿泊施設なのにハーフボードがない
・チェックアウトは11時までなのに、
ランチは11時半からなので、ロビーで30分待たされる
など、どうにもサービス精神というか、やる気に欠けてるような気がするのです。
ホテル全体のサービスも笑顔がなく、そっけない感じ。この辺りに公営のデメリットが出てるような気がしてならないのが、とても残念です。純粋に夜景と料理を楽しむつもりで行けば、最高だと思います。
| 店データ |
| 店名:リストランテ・エルベッタ >>HP |
| 住所:神戸市灘区摩耶山町2-8 オテル・ド・摩耶内 >>地図 |
| アクセス:ロープウェイ星の駅 駅より徒歩10分、三宮駅からタクシープラン(3000円)あり |
| 電話:078-862-0008 |
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