「プロ」「プロフェッショナル」...その道に秀でた人に対して使われる言葉ですが、アマチュアとの違いは、といえば[責任感]にあるのだと思います。そして、このお店は間違いなく「プロフェッショナル」のフレンチです。今回は2名で訪問。
まずは内装。神戸のフレンチといえば今は亡き『ジャン・ムーラン』系がまず思い浮かびます。『ペルージュ』『シェ・ローズ』『ル・フェドラ』『ジャンティ・オジェ』『ヴェリテ(閉店)』...これらの店の内装はほぼ共通してます。白を基調とし、明るいベージュ系のウッディな内装。しかし、このお店はもっとクラシカル。まず木の色がブラウンです。クロスは白の上にオリエンタルブルー系の2枚重ね。あまり明るい色使いだと落ち着かないものですが、ここは落ち着いて楽しめます。席につくと、サービスプレートの上にはかわいくブルーのリボンが巻かれたナプキンが。お店自体は約30席の小さなお店なので、気後れすることもありません。クロークもしっかりしたもの、トイレもなぜか歯ブラシセットと紙コップまで置いてある。高級感とくつろぎやすさをうまくミックスさせた、いい内装です。
シェフは大阪の『ル・ポンドシェル』で修行後、1990年に『レシピ』をオープン。『ルセット』の隣だから、中は繋がってるのかな? そして2000年に『ルセット』開店。このお店自体はまだ5年くらいなんですね。しかし、料理・サービスとも本当に素晴らしい。
料理は2940円のコース。300円でポルチーニのスープが追加できるとのことなので、それもオーダー。アミューズ・前菜・スープ・メイン・デザート・プティフールで3240円のコース。この雰囲気・構成でこの値段は本当にリーズナブル。各料理は次の通り。
●アミューズ:ハモンイベリコ・ベジョータを使ったミニクロワッサン
●前菜:(一品を選択)
・車海老と北寄貝のショーフロワ コンソメゼリー寄せ "ラ・ピラミッド" 温度卵と赤ピーマンのコンフィ添え カルダモン風味
・根室産季節の蟹とコライユのムース、トマトとアボガドのミルフィーユ "ラルク・アン・シエル"
●メイン:(一品を選択)
・前浜産ひらめのポワレ マニゲットとクミンのソース コロンボデュ-風味 茄子のチュイールとアリッサ添え
・和牛頬肉のドーブ 柔らか赤ワイン煮込み ポンムピューレ入りリガトーニ添え
●デザート:(一品を選択)
・苺のクレームとフロマージュブランのソルベ ココット仕立て 銀の飴糸を纏って
・ミロワール・オー・ショコラ
●プティフール:焼菓子とオレンジのパート・ド・フリュイ
ここの料理システム、神戸のこのレベルのレストランにしては少し変わってます。基本的にプリフィクスで、メインが1皿で2940円、メイン2皿で4725円~。プリフィクスと言っても、かなりの種類の中から選べます。で、料理によって1000円~の追加料金、というもの。個人的にはわかりやすくて嬉しいです。料理の名前は長いけど。300円という気軽な値段でスープが追加できるのもいいです。お客・お店の双方にとって、わかりやすく、また満足できるシステムだと思います。
アミューズはミニクロワッサン。ひと口で頂きます。少ししっとりした生地にハムの旨み、そして塩気がしっかり。見た目もかわいいし、味にも満足。この寒い季節なら、温めてあると更に嬉しいかも。
前菜。僕は"ラ・ピラミッド"をオーダー。まず見た目に華やか。その名の通りピラミッド状にしたゼリー寄せには海老もたっぷり。見た目より食べ応えがあります。味もしっかりパンチの効いたもの。塩加減も好みです。温度卵とは、いわゆる温泉卵ですね。そして赤ピーマンのコンフィもおいしい。やわらかく煮てあって、面白い食感。なのにしっかりパプリカの味。こういう食べさせ方もあるんだ、と感嘆。
追加オーダーしたポルチーニのスープ。ポルチーニ好きの僕としてはハズせません。出てきた瞬間にポルチーニの香りが沸き立ちます。味は予想通りにおいしい。スープ自体も泡立ててあり舌触り、のど越しともなめらかでした。この時点で今日は絶対おいしいと予感。
パンもおいしいです。ずっしりとした重量感のある、麦と全粒粉の香りが素晴らしい。食感ももちもちとして、皮の厚さも好み。「どこのパンだろう?」と思ってたら、自家製らしいです。神戸にはパン屋、ベーカリーがいっぱいありますが、そこで売れるレベル。同行者は「パンのおいしいレストランは料理もおいしい」という自論を持っていますが、ここに関しても当てはまります。
メインは魚で、平目のポワレ。こちらも香り高いカレー風味のソース。付け合せがシェイカーのような形に小さくカットした人参、そしてブロッコリーなど緑のもの。茄子のチュイールで高さを演出しています。肉の方もひと口頂きましたが、柔らかく味もしっかりと牛の旨みがあって美味。ワインの香りも程よく、こちらも盛り付けがキレイです。しかし赤ワイン煮をガラス皿で、とは珍しいですね。
デザートは、ミロワール・オー・ショコラにフロマージュブラン。両方ともビックリするぐらいのおいしさ。いつも食べてるパティスリー、ケーキ専門店と変わらないレベルのものです。ミロワール・オー・ショコラは『グレゴリー・コレ』の"アプソリュ"のようなもの。プラリネ(ナッツのペースト)のムースとショコラのムースの2層ものですね。薫り高く、そしてしっかり甘く、本当においしいです。ケーキ屋との違いは、と言えば固いこと。ケーキは持って帰ったりするので、どれだけドライアイスを入れていても柔らかくなります。しかし、レストランなら違う。思ったとおりの温度、つまり固さで出せます。そういう意味で、これはレストランのデザート、ですね。
フロマージュ・ブランもいただきましたが、こちらも専門店と遜色なし。というか、飴糸の美しいデセールがある分、上でしょうね。牛乳とチーズ自体もしっかりした味で、そこに少し飴糸を崩して食べるとシャリシャリとして食感も楽しい。ちょっと飴多いけど、見た目の美しさのためにはこれくらい惜しみなく、といった感じでしょうか。
最後にプティフール。焼き菓子はやや固めの一般的なもの。あまり甘くはないです。特筆すべきはオレンジのグミのような食感のもの。周りには砂糖がまぶしてあるのですが、中のゲル状の部分はすごく酸味が強い。『カランドリエ』でプティフールを食べたときは、こんなに甘いものいらない...と思ったものですが、これなら口をすっきりさせるという意味でも嬉しい。食後の飲み物にはコーヒー・紅茶・エスプレッソ・ハーブティーの4種類より。このハーブティーも口をさっぱりさせてくれて、本当においしかったです。
このお店のサービスはシェフの奥様と、若いかわいい感じの女の子が担当。このマダムが素晴らしい。途中、魚を運んで来た女の子が皿を置き間違える+料理名を間違える、ということがあったのですが、後から肉を運んできたマダムがすかさずフォロー。よく遠くから聞こえたなーと思いました。こんな感じで、本当によく気付く方ですし、お話も丁寧で上手。内に厳しく、外に優しいマダムという印象。「僕がこのお店の顔」という責任感、プロフェッショナルを感じました。
全体に、このお店は本当しっかりしている。それはお店のホームページを見ても同様。料理もすべて網羅してあり、ワイン、場所など、すごく情報が整理された見やすく、(一応web関係の職業である僕が見ても)わかりやすいページ。シェフのブログもあって、すごく楽しい。料理の味、盛り付けや内装のセンス、サービスはもちろん、経営方針自体にも好感の持てる、素晴らしいお店でした。
| 店名:ルセット >>HP | ||
| 住所:神戸市中央区山本通2-2-13 シルクハイツII B1F >>地図 | ||
| アクセス:各線三宮駅から徒歩10分 | ||
| 電話:078-221-0211 |
今日もほぼ満席のこのお店。2人で訪問です。やっと写真が入りました。料理はだいたい2人前くらいあります。2人ならこの量で十分。これだけ食べて、ひとり約3000円ですから、すごく安い。
■必食の海鮮三種炒め
まず海鮮三種炒め。ココに来ると絶対、これを食べたくなる一品。揚げた春雨の器に入ってますが、今回はお店の人に崩されました。器に収まった美しい状態を写真に撮りたかったけど、残念。味はやはりおいしい。しっかりとした味付けなのに下品にならないこの味は、ここでしか味わえないです。それぞれの素材の食感も完璧。家で作ったら絶対固くなってしまうのに、なぜこんな風にできるのか不思議です。いまさらですが、さすがプロは違う。
アバラの中国味噌煮込みは骨付きなので、ガラ捨てとともにやって来ます。これまた味が濃いんだけど、おいしい。肉もおいしいけど、味噌がよく合うので、野菜もおいしいです。野菜の方が先になくなってしまったくらい。
小龍包はイマイチですね。ここの点心は基本的にイマイチです。餃子とかもあんまりおいしくない。まず、皮が厚すぎる。スープのうまみも、あまりない。それよりは、炒め・煮物などをおすすめします。
鶏のチリソース煮、すごく量が多い。そしてすごく辛い。でも甘い。辛みと甘みのバランスがすごくいいんです。ピリッと辛いんだけど、ネギの甘みがしっかりあって、ご飯が欲しくなる味。どんぶりにして食べたいです。
最後の締めにチャーハン。ぱらぱら具合、味の濃さ、具の量、そして価格。どれをとっても素晴らしい。チャーハンですから、特筆することはないのですが、落ち着いて食べられる一品です。
これだけ食べて、もうおなかいっぱい。もっといろいろ食べたいのに、2人ではこれが限界です...。3人以上で行きたいですね。
| 店データ |
| 店名:順徳 |
| 住所:神戸市中央区北長狭通3-4-7 >>地図 |
| アクセス:各線元町駅から徒歩3分 |
| 電話:078-331-5320 |
「20世紀最高の料理人」と言われるアラン・シャペルに師事した西原氏のパティスリー『オ・グルニエ・ドール』。まずお店の形状がすごい。いわゆる「うなぎの寝床」。細長い店の造り。奥まで行くと、やっとショーケースが。これは買わずに出るのは厳しそうですね。
今回は夜遅く、閉店ギリギリでなおかつすぐに持って帰れなかったので、タルトと焼き菓子のみ購入。「焼き菓子潰れそうなんで、タルトの箱にでも入れてもらえますか?」というと、わざわざ別の箱を用意し、入れてくれました。心優しい対応に頭が下がります。お菓子教室なんかもやっていて、その経営姿勢やお店のデザインなど、しっかりした信念に共感します。
・リンツァタルト
フランボワーズとナッツのタルトです。一口食べて「おいしい!」と思えるタルト。タルトは店によってレベルの差がつきにくいものだと思うのですが、これは酸味の強さといい、けっこう固めの生地といい、かなり好みでした。日本人が作る、本場のフランスケーキって感じですね。本当の本場はもっと大雑把だし、日本人のものは繊細すぎる。そのバランスを上手く取ったタルトだと思います。他の焼き菓子2種、ダックワーズとフィナンシェも普通においしい。これこそ、もっとも差がつきにくいもの。敢えて他との違いを言えば、ここのは割と固めで、食感が珍しい感じがします。あとは粉の風味が強いような。この粉がおいしい。
いずれにせよ、これではお店の実力はあまりわかりませんね。でも、期待の持てるお店。今度京都に行くときには、ぜひ生ケーキを食べてみたいと思います。
| 店データ |
| 店名:オ・グルニエ・ドール |
| 住所:京都市中京区堺町通錦小路上ル527-1 >>地図 |
| アクセス:阪急・四条烏丸駅から徒歩5分 |
| 電話:075-213-7782 |
阪神百貨店の『ヴィタメール』。今回はいろいろ買ってみました。
いまさらですがモンブラン。やはり、モンブランってあんまり好きじゃないです。ずっと同じ味が続くのがどうも苦手で...。おいしいのはおいしいんですけど、インパクトに欠けてて『ヴィタメール』らしくない感じがします。
フレーズ・ド・ヴィタメール。こっちは今までのこのお店のケーキの中で一番ハズしました。生クリームの味も弱く、ちょっと牛乳風味。スポンジも普通だし、面白みがない感じです。同じスポンジなら、"フレジェ"の方がはるかにおいしいです。
こちらは店の横の方で売っているロールケーキ。写真はカット済みです。ここにあるシュークリームはあまり好きではないのですが、このロールケーキはなかなか美味。チョコスポンジはしっとりしつつ、程よい硬さがあり、チョコ味のバランスも良い。最後までくどくならず、それでいてしっかりと味わいのあるケーキでした。いま流行の軽めのロールケーキではなく、重厚なロールケーキという感じですが、この方が『ヴィタメール』らしくていいですね。
ただ、ショコラはあまりおいしくないです...。ベルギー王室御用達で有名ですが、口当たりがどうもザラつく感じがして。
やっぱ、ここは生ケーキですね。やはり、いつものムース系が一番安心です。
| 店データ |
| 店名:ヴィタメール 阪神百貨店 >>HP |
| 住所:大阪市北区梅田1-13-13 阪神百貨店B1F >>地図 |
| アクセス:各線梅田駅からすぐ |
| 電話:06-6348-8028 |
~関西グルメ食べ歩きレビュー~